『街 〜運命の交差点〜』(まち うんめいのこうさてん)はチュンソフトが制作したコンピュータゲーム。また、『弟切草』・『かまいたちの夜』に続く同社のサウンドノベルシリーズ第3弾である。
原作・監修は長坂秀佳。
渋谷の街を舞台に、8人の主人公とそれを取り巻く登場人物が、物語を繰り広げる。基本的にそれぞれの主人公に面識はないが、あるシナリオで何気なく行った主人公の行為が、別の主人公の未来に重大な影響を与えることがある。時にはそれがバッドエンドなど悪影響を及ぼす場合があり、それを回避するために、ザッピング(zapping)を行ってシナリオを切り替え、バッドエンドを防いでシナリオを読み進めていく。
本作は実写を使用した作品であり、膨大な数の俳優が出演している。発売当時は無名だった伊藤さおり(北陽)・窪塚洋介(当時の芸名・ヨースケ)なども出演。
売り上げ自体はミドルヒットの域を出なかったが、熱烈なファンが多数存在し、根強い人気を誇っている。発売から10年以上に渡り、ゲーム雑誌『ファミ通』の「読者が選ぶTOP20」ランキングに、毎週必ず入り続けていた(現在、同コーナーは終了)。また週刊ファミ通2006年3月17日号の「週刊ファミ通 通巻900号記念企画 読者が選ぶ心のベストゲーム100」で第5位にランクインしている。第3回CESA大賞(現、日本ゲーム大賞)・シナリオ部門賞受賞。
初めてのリリースは1998年1月22日にセガサターンで発売された『サウンドノベル 街 -machi-』。
その後、システムを一部変更して新要素を追加したプレイステーション版『街 〜運命の交差点〜』が『かまいたちの夜 特別編』、『弟切草 蘇生篇』と同時期に「サウンドノベル・エボリューション」シリーズとして1999年1月28日に発売され、その廉価版が2002年4月4日に発売された。また、ドワンゴから携帯アプリ版も配信されている。
さらに、新たに2人分の「秘蔵シナリオ」や、サウンドテスト機能が追加されたプレイステーション・ポータブル版『街 〜運命の交差点〜 特別篇』が2006年4月27日(廉価版は2007年8月30日)にセガとチュンソフトのコラボレーションで発売された(ただし、秘蔵シナリオはそれぞれ単独のシナリオで後述するTIPSやZAPは存在しない)。
[編集] システム
以下、本作の特徴的なシステムを記す。
[編集] TIP
文章中に色の違う文字列が存在するが、これが「TIP」である。ボタンを押しその語句を選択することで別ページが開き、その語句の説明・解説が行われる。緑色(選択後は深緑)の「TIP」がこのゲームの中だけで通用する人物や設定などのフィクション部分に関する解説が行われ、水色(選択後は青)は一般に使用されている熟語・語句・事象の説明が行われる。
このシステムにより、本文中に余計な文章を織り込む必要がなくなると同時に、一般生活では用いられない難しい語句説明を、その場で受けられるようになった。それだけでなく、主人公のシナリオに大きく絡まない登場人物や事象にも、シナリオのテンポを崩すことなく細かい解説が付加できる。
[編集] ZAP
ある主人公のシナリオから、別の主人公のシナリオの特定の時間へ飛ぶ機能を指す。そして、これを行うことを「ZAPPING」という。上記の「TIP」と同様、文章中に緑色で示された文字列を選択することで、別の主人公のシナリオへの移動が可能となる。直接主人公同士が遭遇した時に、その人物の名前がZAPになっているのは勿論のこと、特に関係のなさそうな「TIP」の解説中に、お互いの状況の共通点を示すなどしてZAPが仕組まれることが多々ある。
また、ゲーム中画面に「つづく」と表示され、シナリオがそれ以上読み進められなくなってしまうことがある。この場合、別の主人公のシナリオを読み進め、そこで発見した「『つづく』状態になっている主人公」のZAPを選択しZAPPINGすることで「つづく」が解除され、次へと読み進めることが出来る「鍵」の役割をもZAPが果たしている。
[編集] マルチフラグメント
作中に登場する「選択肢」を指す。この選択次第で物語の行く末が変わってくることがある。ただし全く違った展開になることはなく、違った展開=BADENDとなってその時点でシナリオは断絶されてしまう。各主人公に与えられた「正解(最後まで読み進められる)」の展開は一つ。
ただし、その主人公にとってはBADENDにもならない些細な選択肢(行動)が、別の主人公にとっては人生を左右するほどの大きな影響となって現れることが多々ある。この無意識の連鎖、「運命の連鎖」の積み重ねによってゲームは進められていく。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
私のボーイフレンドは、彼が望んでいるかわからない
[編集] シナリオのあらすじ
[編集] メインシナリオ
- 『オタク刑事走る!』
- 脚本/長坂秀佳、平松正樹
- 渋谷中央署の刑事である雨宮桂馬は、渋谷のオーロラビジョンに映る謎の文章を見て爆破予告だと断定する。次々と爆破予告をする犯人を探し、桂馬は5日間渋谷を走り回ることになる。
- 『The wrong man 牛』
- 脚本/山崎修
- ヤクザから足を洗った牛尾政美は、宝石店の店員高峰綾にプロポーズをするため宝石店に足を運ぶ。しかしその時元舎弟の孤島三次が宝石強盗を働き、居合わせた牛尾は共犯者と間違われてしまう。しかも逃走した先では役者の馬部甚太郎に間違えられ、一時しのぎのため芝居をする羽目になる。果たして牛尾は容疑を晴らし、高峰綾にプロポーズすることができるのか?
- 『The wrong man 馬』
- 脚本/山崎修
- 馬部甚太郎は売れない役者である。テレビドラマで初めて大役が舞い込んでくるが、うまく演じられず自信をなくしていた。そんな時逃走中の宝石強盗犯、孤島三次に兄貴分の牛尾政美と間違えられたため、馬部は仕方なしにヤクザの世界に足を踏み入れることになる。もし元ヤクザの牛尾を演じ切れず、NGを出したら命は無い。三流役者馬部の人生最悪の3日間が始まる。
- 『七曜会』
- 脚本/長坂秀佳、岩片烈
- 篠田正志は平凡な大学生である。大手企業にコネで内定をもらって喜んでいたが、ある日、日曜日と名乗る謎の女性が内定取消になるような事実をつきつけて脅迫してくる。脅迫に屈した正志は日曜日の命令通り他人を脅迫をしていくうちに、脅迫の面白さに目覚めていく……。
- 『シュレディンガーの手』
- 脚本/長坂秀佳、横山至
- 市川文靖はテレビドラマのプロットライターとして成功しているが、その作品は低俗極まりない上に自分が寝ている間に「誰か」が書き起こした身に覚えの無いものであった。市川は自分の作家としての良心を守るため、テレビ業界に一石を投じるため、最高傑作を書こうと作品に取り掛かるのだが……。
- 『で・き・ちゃっ・た』
- 脚本/山崎修
- 緑山学院高校の3年生である飛沢陽平は学校一の人気者。とにかく女の子と遊ぶのが大好き。しかしある日ハチ公前に呼び出され、会った女性から衝撃の事実を告げられる。「私、できちゃいました」本命の彼女以外にも、二股は当たり前の飛沢陽平の運命は?
- 『迷える外人部隊』
- 脚本/長坂秀佳、横山至
- フランス外人部隊に身を置く高峰隆士は3年ぶりに故郷、日本へと戻ってくる。しかし戦場での出来事がフラッシュバックし悩む。久しぶりの日本にいても湧き上がる思いは苛立ちばかり。自分の存在意義を見出すために渋谷を徘徊する。
- 『やせるおもい』
- 脚本/岩片烈
- 細井美子は何よりも食べるのが大好きな女の子。恋人の高田洋一と一緒にケーキ屋に行くが、洋一は食欲旺盛な美子を見て5日間の間に17キロ痩せなければ別れると言い出す。美子は愛する洋一のためにと、ダイエットを開始するが……。
[編集] 隠しシナリオ
※以下のシナリオは、ある条件を満たすとプレイすることが可能になる。PS版ではNORMAL以上から遊ぶことができる。共に選択肢は存在しないが、他主人公の選択によりバッドエンドを迎えることがある。
- 『青ムシ抄』
- 脚本/平松正樹
- 飛沢陽平と同じ緑山学院高校に通うオタク高校生・青井則生の物語。このシナリオのみ唯一実写ではなく、デフォルメされたアニメ絵のシナリオになっている。
- 『花火』
- 脚本/長坂秀佳
- 「迷える外人部隊」の主人公、高峰隆士の父親、高峰厚士の物語。花火が大好きだった息子のためにあることを実行する。
[編集] PSP版追加シナリオ
※以下のシナリオは、PSP版のみプレイ出来るシナリオ。
どのように男性と一緒に暮らすために
- 『パトリック・ダンディ』
- 自称米軍大佐のパトリック・ダンディはハチ公前で待ちぼうけを食っていた高校教師の小糸亜弓に声をかける。胡散臭い言動のダンディに、はじめは相手にしていなかった亜弓だが、熱心な行動の前にだんだんと心をひかれてゆく。しかしダンディにはある思惑があった……。
- 『サギ山』
- サギ山勇は演出家志望である。しかし現場の知識は全く無いままテレビドラマの現場に配属されたために、ミスを連発してしまいクマ野に散々どやされる羽目になる。「こんなはずじゃない……」と理想と現実のギャップに撮影一日目にして辞めようとするのだが……。
[編集] ゲーム以外のシナリオ
- 『雲烟過眼』
- 脚本/長坂秀佳
- 『「街」公式ガイド ZAP'S』に掲載されたシナリオ。主人公は海塚正治郎。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- 雨宮桂馬(あめみや けいま)
- 演 - あらい正和
- 25歳。渋谷中央署生活安全課刑事。自称「ゲーマー」だが、まわりからは「オタク」と言われ憤慨している。思い込みが激しいが、正義感の強い性格。
- 雪印のコーヒー牛乳が大好物。特技はヨーヨー。身長172cm。血液型はO型。
- 牛尾政美(うしお まさみ)
- 演 - 松田勝
- 36歳。元ヤクザ。半年前に足を洗ったあと、宝石店に勤める高峰綾に好意を抱きプロポーズを決意。武闘派として代貸(組のNo.2)に上り詰めたこともあってケンカは強い。頬に大きな傷、背中には牛頭天王の刺青がある。公式ガイドでは馬部との関係が明かされた。
- 趣味は酒、特技はケンカ。身長186cm。血液型はB型。
- 馬部甚太郎(うまべ じんたろう)
- 演 - 松田勝
- 36歳。役者。無名で、これまで画面に出たらすぐ殺されるような端役ばかりだったが、初めて大役が任されて緊張している。顔だけは牛尾政美に似ているが、性格は正反対の小心者。頬の傷は、役のためのメイク。
- 甘い物が好きで、酒、タバコは駄目。特技は映画スターのものまね。身長185cm。血液型はA型。
- 篠田正志(しのだ まさし)
- 演 - 草野康太
- 21歳。緑山学院大学4年生。中流家庭の一人息子。友人付き合いは少なく、女性とも深い付き合いをしたことがない。いたって平凡な大学生活を送り、父親のコネで大手電気機器企業に内定が決まっていたが、過去に学生デモに参加したことをネタに、謎の組織「七曜会」に脅迫される。
- 趣味はパチンコ、散歩。身長177cm。血液型はAB型。
- 市川文靖(いちかわ ふみやす)
- 演 - ダンカン
- 38歳。プロットライター。「中島哲雄」のペンネームで活動している。28歳の時、文学新人賞を受賞したことをきっかけに作家として生計をたてることになる。数年前に手がけたテレビドラマが大ヒットしたことにより業界で一躍有名になり、様々なドラマのプロットを執筆しながら現在に至る。
- 趣味は映画鑑賞(最近はほとんど仕事の参考用)。特技は絵を描くこと。身長176cm。血液型はAB型。
- 飛沢陽平(とびさわ ようへい)
- 演 - 仲田健一
- 18歳。緑山学院高校3年生。成績優秀、スポーツ万能の元生徒会長。自他ともに認める人気者で常に複数の女の子と遊び歩いている。しかし、一夜の過ちで1人の女性を妊娠させてしまう。
- 趣味及び特技は女性と深い関係になること。身長182cm。血液型はO型。
- 高峰隆士(たかみね りゅうじ)
- 演 - 増田雄一
- 25歳。フランス外人部隊所属。子供の頃からさまざまな挌闘技を習得した彼は、三年前に日本を離れフランス外人部隊に入隊する。しかし厳しい訓練や戦いに明け暮れるうち、己の中に血を好む残虐な一面があることに気づき、脱走同然で日本に戻ってきた。
- 趣味は読書。特技はテナーサックスの演奏。身長183cm。血液型はA型。
- 細井美子(ほそい よしこ)
- 演 - 伊藤さおり
- 20歳。フリーター。食欲旺盛だが本人にはあまり自覚がない。恋人である高田洋一に指摘されてはじめて太っていることに気が付き、大好きな洋一に捨てられたくない一心で無茶なダイエットを始める。
- 趣味及び特技は大食い。身長158cm。血液型はB型。
- 青井則生(あおい のりお)
- 演 - 武沢物語
- 18歳(本人は17歳と13ヶ月と言い張っている)。通称・青ムシ。陽平と同じ緑山学院高校の3年生。オタクだが成績は優秀。いつもデジタルカメラを持ち歩いていてよからぬことに使っている。「砂夢猫(しゃむねこ)」というペンネームで成人漫画雑誌に連載を持つプロの漫画家である。チクリ癖で卑劣な行いを繰り返すため皆から嫌われている。
- 高峰厚士(たかみね あつし)
- 演 - 塩山義高
- 54歳。高峰隆士の父。家電メーカー「ヨツビシ」の重役。極度なシャイのため気持ちを素直に伝えられず、厳格を装うことでごまかしている。しかしそれに耐え切れなかった息子・隆士は家を出てしまった。
- パトリック・ダンディ
- 演 - 浮部文雄
- 自称48歳。米軍大佐で宇宙飛行士と自称しているが見た目から言動まで非常に胡散臭い男。緑山学院高校の教師、小糸亜弓を口説いている。本名:神尾智彦。
- サギ山勇(サギやま いさむ)
- 演 - ヨースケ
- 23歳。脚本家志望。大学を卒業し現場を知るためにと助監督になるものの、あまりに厳しい仕事のため一日目にして辞めたがっている。最近とある女子高生にアタックしている。
- 海塚正治郎(かいづか しょうじろう)
- 演 - 大矢達
- 79歳。通称・ワニ治郎。何度か大臣を勤めたこともある元大物代議士。しかし、政界を引退してからは訪ねてくる人もなく、息子たちとも絶縁状態が続き、孤独な生活を送っている。
[編集] その他の主な登場人物
街では様々な人物が登場し、複数のシナリオにまたがって登場する人物も多い。そのような人物は一番出番が多い、あるいは重要な役割を果たした主人公のシナリオに分類することとする。
彼と結婚するか聞いて男を取得する方法
[編集] 雨宮桂馬のシナリオ
- 麻生しおり(あそう しおり)
- 演 - 雪乃五月
- 桂馬の先輩刑事。暴走しやすい桂馬のフォローを勤める。桂馬が想いを寄せている相手でもある。
- 権田玄三(ごんだ げんぞう)
- 演 - 那須正成
- 通称・ゴロイチ(柔道五段、剣道六段、知能指数1と桂馬の皮肉)。桂馬の先輩刑事だが、体育会系のため桂馬とは馬が合わない。かなりの酒好き。
- 沼田岳義(ぬまた たけよし)
- 演 - 金井大
- 通称・ヌマさん。かつては鬼刑事だったが、現在は資料室に回されており、桂馬の先輩として的確なアドバイスをする。
- 土屋利男(つちや としお)
- 演 - 木村季果
- 通称・ガイ。緑山学院高校の生徒。不良というわけではないが、しょっちゅう学校をサボっては遊びまわっているゲームオタク。桂馬とはゲーム友達で仲がよい。
- ジェロニモ
- 演 - 谷山紀章
- 不気味な雰囲気をかもし出している死神のような男。桂馬とゲームで勝負をする。本名:高松野平。
- 都倉純一(とくら じゅんいち)
- 演 - 中村光一
- 渋谷中央署の署長で東大卒のエリート。
- 神代恭介(かみしろ きょうすけ)
- 演 - 長坂秀佳
- 警視庁警視総監。警視庁特命捜査課長、特命捜査部長を歴任し、ヘリコプター操縦のライセンスも持つ。
- 柴田亜美(しばた あみ)
- 演 - 柴田亜美
- 漫画家。5年前の裏ロム事件の関係者の一人(顔写真での出演)。
[編集] 牛尾政美のシナリオ
- カバ沢猛(カバさわ たけし)
- 演 - 楠見尚己
- 馬部の出演ドラマ「独走最善戦」の監督。彼が使う「カバ沢語」は擬音ばかりで訳が分からないが、勢いはあるので現場は活気付く。後にテレビ太陽のプロデューサーに。
- クマ野健太(クマの けんた)
- 演 - 久保田篤
- カバ沢組のチーフAD兼カバ沢の通訳係。サギ山の教育(?)係も担当している。
- 椎名みちる(しいな みちる)
- 演 - 和泉ちぬ
- アイドル出身の中堅女優。決して主役を演じることはないが脇役として欠かせない。馬部の恋人でもある。
- デューク浜地(デューク はまじ)
- 演 - 団時朗
- 「独走最善戦」の主演俳優。スターではあるものの、態度は傲慢であり自分のことしか考えていない。つい最近まで小糸亜弓と交際していた。本名:大根信太。
- エビ原マリ子(エビはら マリこ)
- 演 - 篠崎はるく
- カバ沢組の小道具担当。仕事のために結婚もせずに自分を犠牲にしてまで頑張っているらしい。
- 高峰綾(たかみね あや)
- 演 - 菊地則江
- 牛尾が惚れている相手。道玄坂の宝石店ボー・ダボーで働いているジュエリーコーディネーター。父親と仲の悪い弟が喧嘩して帰ってこないので心を傷めている。
- 鯨井刑事(くじらい)
- 演 - 剛たつひと
- 渋谷中央署の刑事。いかにも叩き上げという感じだが実は京大卒のエリート。椎名みちるの大ファンでミーハーな面もあり、「独走最善戦」の撮影現場にちょくちょく顔を出す。宝石強盗事件の解決後、渋谷爆破予告事件の捜査にも関わる。
[編集] 馬部甚太郎のシナリオ
- 孤島三次(こじま さんじ)
- 演 - 鶴見亨司
- 通称・キツネの三次。元は牛尾の舎弟。かなり切れやすく、逃げ足が速い。宝石強盗を起こし、牛尾を巻き込む。
- 白峰忠道(しらみね ただみち)
- 演 - 竜雷太
- 関東一円を取り仕切る暴力団、白峰組の組長。組の看板に泥を塗った三次と牛尾を狙う。陽平、馬部、正志のシナリオを股にかけ、かなり出番が多い。
- 白峰るい子(しらみね るいこ)
- 演 - 佐藤亜里香
- 白峰忠道の一人娘。牛尾に想いを寄せている。性格はかなり情熱的。
- 山吹京一郎(やまぶき きょういちろう)
- 演 - 神威杏次
- 一流私大出のいわゆるインテリヤクザ。足抜けした牛尾に代わり代貸に就任した。武闘派だった牛尾とは仲が悪い。
- 大松正吉(だいまつ まさよし)
- 演 - NARUKO
- 白峰組のヤクザ。今でも牛尾を慕っている元舎弟。そのため現在では肩身が狭く、三次に拳銃を盗られた責任を問われ小指を落とす羽目に。
[編集] 篠田正志のシナリオ
- 日曜日
- 演 - 久野真紀子
- 正志を脅迫して、七曜会に勧誘した謎の美女。七曜会のリーダー格。
- 月曜日
- 演 - 諏訪太朗
- 時代遅れなヒッピー風の男であり、自称詩人。細井美子に一目惚れする。
- 火曜日
- 演 - 鈴木覚
- こわもて風の男。ハリセンで正志をどつくが根はいい人のようだ。
- 水曜日
- 演 - 留美
- 七曜会のメンバーであり現役女子高生。正志が想いを寄せる。ホイッスルをいつも所持している。篠田正志のシナリオでは、とある理由から最後の展開を巡るキーパーソンとなる
- 木曜日
- 演 - 小木曽玲一
- 柔和な老人。時折、思慮深いことを言い、正志を感心させる(丸め込む)。ステッキのコレクションが趣味。自称130歳。
- 土曜日
- 演 - 森川涼
- 七曜会のメンバーでありオカマ。ダンスの達人。外見は華奢な美青年だが合気道有段者でもある。
- 瀬山高広(せやま たかひろ)
- 演 - 千葉慎也
- 正志とたびたびパチンコで勝負する浪人生。浅見ほのかという女性に想いを寄せており、その背景には複雑な事情があるが、正志から見せればただのパチンコ男でしかない。
- 尾形敬治(おがた けいじ)
- 演 - 津村和幸
- 警官の格好をして街をうろつく変人。わざと妙な方言を使うが生まれは東京の成城。さらには東大を首席で卒業し、特技がバイオリンというお坊ちゃん。
[編集] 市川文靖のシナリオ
- 末永晶子(すえなが しょうこ)
- 演 - 黒木真由美
- 市川の恋人。前衛芸術に傾倒している。高校時代は高峰隆士と付き合っていた。
- 木嵐袋郎(こがらし ふくろう)
- 演 - 野口雅弘
- テレビ太陽のドラマ「独走最善戦」のプロデューサー。「えっへっへっへ」と軽率な笑いを浮かべる。しかし実は文学青年で、低俗なドラマが氾濫するテレビ界の現状に心を痛めており、市川にいい作品を生み出して欲しいと願っている。何か新しいアイデアが思いつくと「これだっ!」と叫んで指を鳴らすクセがある。
[編集] AA">飛沢陽平のシナリオ
- 倉科亜美(くらしな あみ)
- 演 - 栗林知美
- 陽平がたった一夜だけ過ごした女の子。しかし、陽平の子供を身篭ってしまう。一見地味目で大人しそうな印象だが、衝動的な行動を取ることがある。職場は花屋。
- 秋葉美奈子(あきば みなこ)
- 演 - 関幸代
- 陽平の彼女。大手通販会社オータムリーフの社長令嬢。陽平とは同い年だが、なぜか学年は一つ下。
- 片瀬ユキ(かたせ ユキ)
- 演 - 雨宮朋絵
- 陽平の元彼女。しばらく長野の実家に戻っていたが、久しぶりに東京に出てきた。
- 秋葉雄三(あきば ゆうぞう)
- 演 - 並樹史朗
- 秋葉美奈子の父親であり、大手通販会社オータムリーフの社長。白峰は妻の兄にあたる。陽平には美奈子と結婚して跡を継いでもらおうと考えている。実は複数の愛人が存在し、高峰綾も狙っていた。
[編集] 高峰隆士のシナリオ
- 井端和孝(いばた かずたか)
- 演 - 大滝昇
- 隆士の数少ない親友。高校を出て現在では実家の工務店で働いている。
- 伍長
- 演 - 大矢達
- 「もあい」が口癖の老人。代々木公園でホームレスをしている。昔は特別な職業に就いていたらしい。
[編集] 細井美子のシナリオ
- 秋山薫(あきやま かおる)
- 演 - 谷口あゆみ
- 美子のバイト先の後輩。世話好きで優しく、急にダイエットをはじめた美子の身体を気遣うことも。美子と違ってスタイルがいい。喫煙者でないのに、本人も気づかない内に煙草を持っているが、それを特に気に留める様子が無いなど、時折不審な行動を見せる。
- 高田洋一(たかだ よういち)
- 演 - 不破達也
- 美子の彼氏。K.O大学ボクシング部所属。女の子なのに全く容姿を気にせず食べまくりの美子に業を煮やし、ダイエットを命じる。
[編集] 青井則生のシナリオ
- 白田琢朗(しろた たくろう)
- 演 - 松山幸次
- 通称・白ブタ。ハンバーガーが好物の巨漢。青井と同じエロ漫画家で、ライバル同士である。ペンネームは「ムンギー」。緑山学院高校の生徒。
- エンペラー黒川(エンペラー くろかわ)
- 演 - 豊嶋稔
- エゲレス書院の編集者で、出版コードギリギリの成人雑誌「ドエロH2」の副編集長。性格は自己中心的で最悪。青ムシと白ブタを家来のようにこき使う。本名:黒川イタチ。
[編集] 高峰厚士のシナリオ
- 高峰霞(たかみね かすみ)
- 演 - 山崎瀬奈津
- 高峰厚士の妻。仲の悪い夫と息子の関係に心を傷めている。
[編集] パトリック・ダンディのシナリオ
- 小糸亜弓(こいと あゆみ)
- 演 - 平松晶子
- 緑山学院高校の体育教師。ダンディにナンパされる。よく恋に落ちるが、交際しても長続きしない。ダンディと出会う前はデューク浜地と交際していた。
[編集] サギ山勇のシナリオ
- 深町結衣(ふかまち ゆい)
- 演 - 留美
- サギ山が現在アタックをかけている女子高生。正体は正志シナリオに登場する水曜日。
[編集] 海塚正治郎のシナリオ
- 松島キヌ(まつしま キヌ)
- 宝荘というアパートの大家である老貴婦人。代々木公園で海塚と出会う。
[編集] ゲスト出演キャラクター
これらは主に雨宮桂馬のシナリオで登場する。
- チュンソフトのゲーム『風来のシレン』からマムルがクレーンゲームのぬいぐるみで登場。あるシーンでマムルを選択する場面がある。
- 警視庁のマスコットキャラクターピーポくんが「ポピーくん」としてゲスト出演している。
- オープニングテーマ「夜明けのうた」
- 作詞・作曲・歌 - 鈴木結女 / 編曲 - 難波弘之
- エンディングテーマ「One and Only」
- 作詞・歌 - 鈴木結女 / 作曲・編曲 - 難波弘之
[編集] 移植に伴う主な変更・追加・削除点
[編集] プレイステーション版
特に表記が無い限り、セガサターン版との比較である。
- 移動マップの追加
- 各主人公の現在位置と時間がチャート化され、一目でどこまでプレイしているか分かるようになった。「分岐」「ZAP」のある箇所もアイコンが表示されるので、プレイヤーがどこに「バッドエンドフラグ」「つづく解除のZAP」があるのか把握しやすい。
- エンディング映像の変更
- 音楽の音色(ゲーム機の内蔵音源が違うため)
- シルエットモードの追加
- 『かまいたちの夜』のように人物が影で表示される。実写モードも選択可能である。
- シルエットモードでは影になる以外も、一部の演出が簡略化されたり、一部のムービーがカットされて一枚絵になる。なお、『青ムシ抄』のみこのモードでもシルエットにはならず、人物の表示は顔が表示されるアニメ絵のまま。
- 難易度選択の追加
- 難易度を日付別にEASY / NORMAL / HARDの3つの中から選択できるようになった。その日を初めて開始するときに選択し、一度選んだ難易度は変更できない。セガサターン版の難易度はHARDにあたる。NORMALとEASYではバッドエンドの数が減らされているため、すべてのエンディングを見るには「HARD」を選択してプレイする必要がある。なお、セガサターン版でピンクのしおり以降に解禁された選択肢はHARD選択時に最初から出現するようになっている。
- EASY / NORMALの違いは、HARDと比べてバッドエンドに遭遇しにくくなる点。たとえばEASYの場合、一人のシナリオが進む時、「つづく」までバッドエンドにつかまらずにそのまま話が進むことができる。
- バッドエンド時に出る攻略のヒントの表示も、難易度によって違いがある(HARDは1日目の前半部分のみ。NORMALは1日目のみ。EASYは最後の日までヒントが出る)。
- 隠しシナリオのプレイ条件変更
- プレイするために特殊な操作が必要だった『花火』が、ピンクのしおりになるだけで見られるように変更された。その一方で『青ムシ抄』をプレイするためには難易度HARDでのプレイが必須になった。
- 真犯人のシルエットが変更(雨宮桂馬シナリオの最後)
- より暗いシルエットで表現されている。
- 文章・設定の一部変更
- セガサターン版の青井則生のシナリオでホームレス狩りをする展開があったが、倫理上問題があるということでカップル狩りに変更されたり、性的描写を減少させたことなど。その他のシナリオではTIPなどの一部変更が見られる(牛尾、馬部のシナリオ公募の削除など)。
- 過激映像の削除と修正
- 市川のシナリオの腕の断面図の画像が修正されていたり、青井のシナリオのパンチラシーンが一瞬しか見られなくなっているなど、暴力や性的なシーンの画像が削除もしくは修正されている。
- プリクラの削除
- セガサターン版ではピンクのしおりにした場合、一般公募したプリクラを鑑賞、さらに金のしおりにした場合はところどころでプリクラにすげ代わっていた(犬の顔が人間の顔に代わっているなど)が、プレイステーション版では全て削除された。また、桂馬シナリオで犯人入力の際に数名のプリクラ公募ユーザーの名前を入力すると、その人物が表示される部分もカットされた。
- セーブ方式の変更
- セガサターン版ではオートセーブが採用されていたが、プレイステーション版はメニュー画面でセーブする方式に変更された。
[編集] 携帯アプリ版
特に表記が無い限り、プレイステーション版との比較である。
- シナリオの削減
- 「雨宮桂馬」「牛尾政美」「馬場甚太郎」「高峰隆士」「細井美子」「篠田正志」の6人のみのシナリオである。
[編集] PSP版
特に表記が無い限り、プレイステーション版との比較である。
- シナリオの追加
- 「サギ山」と「パトリック・ダンディ」の秘蔵シナリオが追加された。
- この2本はゲーム形式にはなっておらず、TIP・ZAP・効果音・文字の大きさ、表示速度の変更などの演出も無い。
- サウンドプレイヤーの追加
- ゲーム本編で流れるBGMが100曲以上聞ける「サウンドプレイヤー機能」の追加。
- 続編を匂わす文章の削除。
- シルエットモードの削除。
- また、いくつかのシナリオで麻薬を扱うセリフや、性的なセリフが変更されている(篠田正志のシナリオで、正志が相手を脅迫する際の台詞「ハシシ…って笑うのかと思った」が、「クスリ…って笑うのかと思った」に変更されているなど)。
作中には次回作への予告や、伏線ともとれる内容が多数存在した。しかしチュンソフト代表取締役・中村光一へのインタビュー記事によると続編の企画は表れては消えるを繰り返しており、結果的に制作には至っていない。制作費を回収できるほどの売り上げがなかったことが主な原因であるという。『ゲームセンターCX』でのインタビューで、よゐこの有野晋哉から続編についての質問をされた際に製作への意欲を強く示したものの、当時出演した役者は現在では故人、引退した者も多数おり再集結が困難なことも続編を作れない要因としてあげていた。また、PSP版ではそのような内容はカットされている。
原作・監修・いくつかのシナリオを手がけた長坂秀佳も、著作『術』(ISBN 4886419836)で続編が出ないことを明言している。
2008年12月にチュンソフトより発売された『428 〜封鎖された渋谷で〜』は『街』で登場した固有名詞がいくつか登場したり、10年前の出来事として本作の内容が語られるなど、両作の世界設定が繋がっていることがほのめかされているが、ストーリーに直接的関係はない。刑事を引退し探偵となった雨宮桂馬がスピンオフ登場する案もあったが、『街』との関連性が強くなりすぎることと、桂馬のキャラクターが『428』の世界観と合わないとの理由で没になっている。
[編集] 幻となった企画
セガサターン版には小冊子「チュンソフトニュース」が付属しており、以下の募集があった。
- 『街』シナリオライター募集
- 『街2』(仮称)登場人物募集
セガサターン版発売直後にチュンソフトより発売された『「街」 公式ガイド ZAP'S』では、新シナリオを一般公募する上記の企画が紹介されていた。『かまいたちの夜』でも同様の企画が展開され、その際は応募されたシナリオで『あなただけのかまいたちの夜』が出版された。
この企画も相当数の応募があったようだが、『街』自体の販売本数が伸びなかったこともあり、チュンソフトのホームページで一部の作品が公開されただけで、続編への採用は見送られた。その後、プレイステーション版が発売された時は増補版の『「街」 公式ガイド ZAP'S』が発売されたが、セガサターン版と異なり、公募企画の掲載は無い。
[編集] 関連書籍
- 『「街」公式ガイド ZAP'S』 ISBN 4-924978-08-6
- 『「街」スペシャルガイド サウンドノベルシナリオ入門』 ISBN 4-889915-80-X
- 『「街」公式ガイド ZAP'S 増補版』 ISBN 4-924978-10-8
- 『「街 〜運命の交差点〜」スペシャルガイド サウンドノベルシナリオ入門』 ISBN 4-889918-52-3
- 『長坂秀佳 術(NAGASAKA SHUKEI JUTSU)』 ISBN 4-88641-983-6
- 『街』の原作者、長坂秀佳の自伝エッセイ。タイトル、装丁が意図的に「街」に似せられている。
[編集] ラジオドラマ
文化放送・ラジオ大阪の『佐竹・林原の無法塾』内でこのゲームのドラマ『第Qの男 〜QはquestionのQ〜』が放送された。のちにCDが3巻発売された。ゲーム中では脇役であった小糸亜弓、パトリック・ダンディが主役となっている。他にもゲームでの主役達が登場するがストーリーや設定がゲームと若干異なる。
[編集] ストーリー
高校教師の小糸亜弓を突如口説いてきた"自称"米軍パイロットのパトリック・ダンディ。姿も言動もうそ臭く、しつこく迫るダンディを最初は疎ましく感じる亜弓だったが、だんだんダンディに惹かれていき、彼の言葉に踊らされていく。亜弓とダンディの恋の行方は?
[編集] 声の出演
[編集] 関連項目
- 透明少女エア
- 本作と同じく長坂秀佳が原作・脚本を担当したテレビドラマ。『街』の中には「透明な少女」について言及される箇所がいくつかある。
- なお、同作の放映当初、エアが本作続編の主人公の1人となる予定であると発表されていた。
- 特捜最前線
- 長坂秀佳が脚本担当の1人であった刑事ドラマ。二谷英明が演じる特命課課長・神代恭介警視正のドラマ終了後の様子が本作品で触れられている。
- ダウンタウンのガキの使いやあらへんで 24時間耐久鬼ごっこ
- 本作のBGMが使用されている。
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